「重陽の節句」と菊

「今日からコラムを始めます。これからどうぞよろしくお願いいたします!」

実は、 HPオープン後、第一回目のコラムに何を書こうかな、と色々と考えておりました。

フラワーデザインについて、テーブルコーディネートについて、テーマは沢山あります。

本日は、第一回目。季節感を大切にという想いから、「重陽(ちょうよう)の節句」についてお届けいたします。

○「重陽の節句」

「重陽」とは
1、3、5、7、9の陽の数字の中で一番大きい9の数字が重なるところから、「重陽」といいます。

またの名を「菊の節句」といいます。
ですから、「重陽(ちょうよう)の節句」のお話は、「菊」のお話につながっていきます。

実は、「重陽の節句」は陽の数字の中でも一番大きな数字がかさなるところから、大変縁起がいいとされ、
江戸時代までは、一番祝われていた節句です。

旧暦の9月9日は新暦になってから季節がずれてしまい、
新暦の9月9日に「菊の花」が咲いていないことから祝われなくなっていきました。

ちなみに、旧暦の9月9日は、2017年ですと10月28日にあたります。

○「五節句」

1月7日「人日(じんじつ)の節句」(七草の節句)

3月3日「上巳(じょうし)の節句」(桃の節句)

5月5日「端午(たんご)の節句」(菖蒲の節句)

7月7日「七夕(しちせき)」(笹の節句)

9月9日「重陽(ちょうよう)」(菊の節句)

「重陽の節句」は万葉の時代から祝われていました。

『源氏物語』で有名な紫式部は、『紫式部集』に、「重陽の節句」にちなむ歌を詠んでいます。

ー「菊の花 若ゆばかりに袖ふれて 花のあるじに 千代はゆづらむ」

この日、紫式部は藤原道長の北の方(奥さん)・源倫子から菊の着せ綿を贈られて大変感激したようです。

当時綿は大変高価なもの。

道長の娘・彰子にお仕えしていた紫式部は分不相応な贈り物と遠慮して、

「(着せ綿の菊の露で身を拭えば、千年も寿命が延びるということですが、)

私は若返る程度にちょっと袖を触れさせていただき、千年の寿命は、花の持ち主であられるあなた様にお譲り申しましょう。」

とその着せ綿を丁寧にお返ししようとしたとのことです。

 
 
 

「重陽の節句」の楽しみ方5つ

(1)菊の「被綿(きせわた)」

「被綿(きせわた)」については、上記紫式部の歌にもある通り、平安時代から続くものです。

前日の9月8日夜に、菊の花に綿をかぶせておいて、重陽の日の朝、菊の花の香りが浸み込んだ朝露で濡れた綿で、

顔や体を拭くと、平安時代は若返ると思われていて、貴族たちの間で大流行していたものです。

菊の香りを楽しんで雅な気分に浸れます。

(2)呉茱萸袋(ごしゅゆぶくろ)

茱萸(ぐみ)の実を乾燥させたものを袋に入れて、9月9日から枕元に置くと、病気にならないと言われていました。

呉茱萸は、今でも頭痛に効く漢方薬として漢方薬局で売られています。

9月9日から翌年の5月4日まで枕元に置いて、香りを楽しんで下さい。

(3)菊酒(きくしゅ、きくざけ)

お酒に前日から菊の花を浸しておきます。

盃に注いだお酒に、花びら数枚を散らします。

「長寿の薬」として頂きます。

(4)菊合わせ

菊の花の品評会のことです。

今でも品評会や、菊人形の展示会などが開催されています。

(5)菊湯(きくゆ)、菊枕(きくまくら)

菊の花を浮かべたお風呂、菊の花びらを入れて作った枕。

両方とも、長寿になると思われていました。

本日、9月9日「重陽の節句」です。

菊酒、秋の味覚のお食事を、

菊の花を使ったテーブルフラワーとテーブルコーディネートでお楽しみ頂ければと思います。

*菊の箸置き